医療技術の発達した現代、かつては不治の病といわれた症状も完治できるほどに進歩しています。しかし、病にまつわる悩みは絶えたわけではないのです。世界でも200例しか報告されていない未知の症状が存在しています。それがハーラーマンストライフ症候群なのです。
ハーラーマンストライフ症候群は、1958年にウィルヘルム・ハーラーマン医師とエンリコ・ストライフ医師がそれぞれ別の患者に発症した症例を学界に報告したことで名付けられました。世界全体で200例、日本では26例が報告されている症状です。
ハーラーマンストライフ症候群の患者は、身体的な症状と視力への障害などが複合的に発症しています。
ハーラーマンストライフ症候群の特徴となるのが、「小さな身体」です。発育不全で身長や体格が平均値を下回る人が多いようです。もう一つの特徴が「小さな頭」です。頭や顔は小さく、顎の形成に影響が出て鼻が尖ってしまうため「鳥人様顔貌」ともいわれます。また、体毛にも影響が出ていて毛髪が生えにくく逆まつげになりやすいようです。
ハーラーマンストライフ症候群の患者は、目に大きな障害を持ってしまいます。小眼症と呼ばれる眼球の発達不全や、レンズの役割を果たす水晶体が退化しているなどの視力への影響が確認されています。ハーラーマンストライフ症候群の患者が成長後白内障や緑内障を発症するケースも多く、失明に至ってしまう人も多いようです。
ハーラーマンストライフ症候群は発育不全を引き起こすため、内臓や呼吸器官にも影響が出ます。心臓関連の症状や呼吸不全などを発症するケースが報告されています。また、生殖器にも影響が出ることも多く、子供を作れない患者も多いのです。
ハーラーマンストライフ症候群の患者は、肉体的な発育不全を起こすものの知能的な発育不全は、現在ではほとんど見られないと言われています。小さな身体のままで大人にならざるを得ないのです。
ハーラーマンストライフ症候群は、数少ない症例ではあるものの今も悩んでいる人がいる症状なのです。では、ハーラーマンストライフ症候群への医学的なアプローチはどうなっているのでしょうか?
ハーラーマンストライフ症候群は、前述の通り世界でも200例しか報告例が無い症例です。その為、治療法は未だに確立されていないのです。
かつて、ハーラーマンストライフ症候群の原因と考えられていたのは性別を決定する性染色体以外の染色体(常染色体)の優性遺伝でした。しかし、近年ではこの考えは否定されつつあります。常染色体の異常によって発症するものにはダウン症や奇形などがありますが、常染色体の異常の場合無事に生まれてこないケースがほとんどのようです。ハーラーマンストライフ症候群は、これまでに知られている症例とはまったく別のものであるのかもしれません。
これは私見なのですが、ハーラーマンストライフ症候群の患者さんをテレビなどで拝見した時「もしかしたらこれはネオテニーなのではないか?」と思いました。
ネオテニーは「幼形成熟」といい、幼生の状態を残したまま成体に成長する生物学的な現象です。有名なところでは、サンショウウオのネオテニーであるウーパールーパーがいます。ある学者に言わせれば「ヒトはチンパンジーのネオテニーである」そうですが。
また、別の学者に言わせれば「ヒトもやがてネオテニーになっていく」そうです。もしも、ハーラーマンストライフ症候群がそういった変化や進化の過程の状態であったなら……。これは、私の想像でしかありません。もしかしたら、ハーラーマンストライフ症候群は遺伝子や染色体と何らかの関係があるのかもしれません。
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