化学物質過敏症

科学技術の発達により、我々はより便利に生活できるようになりました。それとともに様々な物質が開発され、生活とは切っても切れないところまで進出してきています。しかし、便利になった反面、その化学物質によって生活できなくなってしまった人たちがいます。最近ではシックハウス症候群というのが有名ですが、家に限らず、様々な物質がダメになってしまい、その症状に苦しんでいる人たちがいるのです。それは化学物質過敏症といわれるものです。

化学物質過敏症とは

化学物質過敏症とは、文字通り、様々な化学物質に体が過敏に反応してしまい、様々な症状を引き起こしてしまうもののことです。シックハウス症候群が新築の家などに使われている物質に反応してしまうのに対し、化学物質過敏症はほんのわずかな化学物質であっても体が反応してしまうので、化学物質が氾濫している現代においては非常に大きな問題となっています。

化学物質過敏症の症状

化学物質過敏症は、個人個人によって差があるので、ある決まった症状が出るわけではありません。化学物質過敏症の症状の傾向としては
・目眩がする・目がかすむ・目がかゆくなる
・鼻が詰まる・鼻水が多量に出る
・耳鳴りがする・耳が聞こえにくくなる
・口が渇きやすくなる・のどが痛い
・関節が痛い・関節が腫れる
・頭痛がひどい・気持ち悪くなる・立ちくらみがする
など、実に多種に渡ります。個人差が大きい症状ですから、軽度の症状の人もいれば、重度の症状が出る人もいます。

化学物質過敏症の発症原因

化学物質過敏症は最近注目されるようになったものであり、原因も未だはっきりとしていないのですが、化学物質を多量に摂取する状況に長時間置かれている人がなりやすいと言われています。シックハウス症候群発症をきっかけとして、化学物質過敏症になってしまう人もいるようです。

化学物質過敏症の患者数

化学物質過敏症は、まだ研究が十分進んでいないことや、化学物質過敏症と診断されない場合も多いため、正確な患者数はわからないのですが、一説では日本に100万人いるとも言われています。100人に1人が化学物質過敏症の兆候があるということです。

化学物質過敏症と診断されない理由

現に化学物質過敏症と診断されている患者がいるにもかかわらず、なぜ化学物質過敏症と診断されない患者さんが多いのでしょうか。

化学物質過敏症の専門医がほとんどいない

化学物質過敏症というものが世の中に提唱されてまだ10年ほどしかたっていません。化学物質過敏症が提唱されてから日本の医学会でも検証がなされたようですが、「化学物質過敏症を裏付けるだけの医学的根拠が希薄」との理由から、ほとんど病気として取り上げられませんでした。従って、化学物質過敏症を専門に治療する医師も少ないのです。これでは化学物質過敏症であったとしても正しく診断されるはずがありません。

国の厚生労働省の対応が遅れた

国というのは、良し悪しは別として、中々根拠が薄いものに対して本格的な対応を取ることができません。シックハウス症候群という今では十分認知されているものでさえも、厚生労働省が本格的な対応に乗り出すまでにはかなりの時間がたっています。現在でも化学物質過敏症を否定する医師がいる状況では、対応が遅れてしまっているのも仕方ないかもしれません。

化学物質過敏症の治療方法

化学物質過敏症は、微量の化学物質に反応してしまうものですから、薬を使った治療法は不可能であり、化学物質を全て遮断するというのが治療法になります。化学物質過敏症の症状が治まれば、後は通常と代わりのない生活が送れるそうです。従って、症状が改善するまで、化学物質と全く縁のない生活をすればいいのですが、これが並大抵なことでは無理なのはすぐにわかるでしょう。例えば、医師に相談したくて病院に行こうと思っても、家から(場合によっては家の中ですらも)一歩外へ出た途端周りは化学物質だらけです。この状況では病院にたどり着くことすら困難です。よしんば病院に到着できたとしても、あの薬のにおいが充満する中診察してもらうまで待っていられるものではないでしょう。よく、化学物質と縁のない自然が多い地方に引っ越して、という治療法も言われていますが、その地方にいけるかどうかも問題です。かといって、周りを遮断して生活するというのも乗り越えなければならないものが多いです。まず、水道水がダメです(塩素が入っているため)。飲むことができないだけではなく、症状が重い人はそばにあるだけでもダメな場合があります。ではミネラルウォーターなら大丈夫なのかというとそうとは言い切れず、ミネラルウォーターの入れ物がダメという場合もありますから、化学物質過敏症の症状は深刻です。食物にしても、完全無農薬のものでなければ食べることができず、しかも下手な調味料すら一切使えないという状態です。さらに化学物質過敏症が悪化すると電磁波すらも体が受け付けなくなってしまいますから、テレビなどは当然見ることはできず、電話もダメ、果ては太陽の光すらダメという実例まであります。そして一番問題なのは、化学物質過敏症が広く認知されているものではないため、周囲が協力的でない場合が多いということです。現に、家族が非協力的だったために症状が全く改善されず、長い間化学物質過敏症に悩まされたという例もあります。もし身内や友人に化学物質過敏症と思しき人がいたら、一日も早く症状が改善されるように協力してあげることが必要です。花粉症にある年突然なってしまうように、化学物質過敏症もある日突然自分がなってしまうかもしれません。明日は我が身なのです。

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